朝日が差し込む窓辺でいつものようにコーヒーを飲んでいる。
今日は待ちに待った日曜日。
やっと休日だ。
最近やけに私の仕事の負荷も高まってる気がする。
なかなか断れない性格なのもよくないけど、私ばっかりに仕事をふる上司も最近苦手になってきた。
今度の水曜日は打ち合わせ参加しないとだしめんどくさいな。
「・・・・今日は日曜日だし、仕事のことは忘れたいなぁ」
ずっと考えちゃう性格。
働き始めるとマイナス感情も長引くから困っちゃうんだよね。
ふと隣に目をやるとモカが気持ちよさそうに寝息を立てている。
この何気ない日常が私にとってかけがえのない幸せだ。
「モカ、おはよう」
そっと声をかけると、モカは尻尾を振って顔を上げた。
大きな黒目がキラキラと輝いている。
相変わらずキミはかわいいね。
モカ、私の大切な家族である柴犬。
10年前、小さな子犬だった彼女を抱きかかえて家に連れて帰ったときのことを今でも鮮明に覚えている。
当時の私は仕事のストレスで疲れ切っていた。
毎日が同じように過ぎていき生活に彩りがなかった。
社会人になりたてで、聞いていたけど大人になるってこんなにしんどいんだなぁって毎日”無”になっていた。
ある日、友人に誘われて近所のペットショップに立ち寄った。
動物園に行く時間もお金も場所もないから。
ちょっとでも動物に癒しを得ようとふらっと立ち寄ってみた。
軽い気持ち。
そこで、小さな子犬と目が合った。
不安そうに見えたけど、私を見るなり尻尾を振り始めた。
「この子、あんたのこと気に入ったんじゃない?」
友人の言葉に胸がキュッと締め付けられた。
その日、ペットを飼うということをずっと妄想していた。
別にペットを飼うなんてみんなしているし、今までもやろうと思えばできたこと。
でもなぜかこの時は今まで以上に強烈に妄想した。
代り映えの無い日常が何か変わっていくような確信をしていたんだと思う。
「モカ、今日も元気に散歩行こうね」
モカの耳をそっと撫でると、嬉しそうに吠えて返事をする。
毎朝の散歩は私たちの日課だ。
近所の公園を一周するだけの短い時間だけど、モカと一緒だと特別な時間に感じる。
木の葉を追いかけるモカ。
他のワンちゃんと挨拶を交わすモカ。
そんな姿を見ているだけで心が温かくなる。
大人になるって仕事だけではなく、好きな家族といられることでもあるんだなぁと眠気の残る朝の空気でさえも愛おしく感じる瞬間だった。
モカが来てから、私の生活は想像以上に大きく変わった。
以前は仕事ばかりだった私も、今では帰宅が楽しみになった。
モカが尻尾を振って出迎えてくれる瞬間が、一日の疲れを吹き飛ばしてくれる。
休日には一緒に近くの公園やたまに遠出をすることも。
モカの好奇心旺盛な姿に、私も新しい発見をすることが多い。
何より、モカは私に「家族」の温もりを教えてくれた。
無条件の愛情、共に過ごす時間の大切さ。
モカがいるから、この家が「帰る場所」になったんだ。
「ねえモカ、今度の休みはどこに行こうか?」
モカの顔を覗き込むと、いつものように嬉しそうに返事をする。
まだまだ一緒に過ごせる時間はたくさんある。
新しい場所に行ったり、新しい遊びを見つけたり。
モカと一緒なら、どんな日常も特別な思い出になる。
晴れ渡った空が広がっている。
「そろそろ帰ろうか。」
モカのリードを手に取った。
これからも、モカとの日々を大切に過ごしていこう。
一緒に歳を重ねて、もっともっと素敵な思い出を作っていけたらいいな。
そう思いながらモカと一緒に踏み出す。
今日も、幸せな一日のスタートだ。
夜、ソファでくつろいでいるとモカが膝の上に乗ってきた。
柔らかな毛並みを撫でながらふと思う。
「モカ、これからもずっと一緒だよ。」
モカは、まるで当然!と言わんばかりに寄り添ってきた。
さすが!私の気持ちがわかるんだね。
相変わらずキミはかわいいね。
明日からも、明後日からも、そしてずっとずっと先まで。
モカと一緒に過ごせる日々が続くんだ。
そう思うと、胸がワクワクしてくる。
「モカ、大好きだよ」
そっと呟くとモカは目を細めて私を見上げた。
この瞬間、この幸せが永遠に続くことを願いながら私はモカを優しく抱きしめた。
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